プログラムの名称
医療法人栄知会 小野歯科医院
臨床研修プログラム
01.プログラムの特色
当院は、開院以来約90年間、地域の患者や医療・介護との信頼関係を積み上げてきました。そして個々の患者に口腔内だけでなく全身の健康のサポートを行う歯科医院です。補綴、保存、口腔外科、歯周病、小児、矯正(マウスピース矯正)、訪問診療、摂食嚥下リハビリテーション、歯内療法など幅広い診療を行っており、手術室やCTなどの設備も備えているため、インプラントや歯周外科などの診療も行っております。
治療技術面に関しては、まず基本を学び、その後専門的な分野へと移行していきます。患者層が小児から⾼齢者まで幅広いため、総合的な診療能力(態度・技能・知識)と患者及びその家族との間でのコミュニケーション力を培うことができます。
訪問診療にも力を入れており、週5日行っております。在宅療養患者、施設療養患者どちらを対象にした診療も学ぶことができるほか、当院に在籍している言語聴覚士・管理栄養士とチームとなり摂食嚥下機能訓練や栄養サポートを経験することができます。指導歯科医は日本口腔インプラント学会専門医であり、審美やインプラントなど先進的なことへの挑戦も可能です。
02.臨床研修の目標
研修歯科医は臨床研修プログラムに沿い、オリエンテーションに加えて、A歯科医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム)、B資質・能力、C基本的診療業務(1. 基本的診療能力等、2. 歯科医療に関連する連携と制度の理解等)、それぞれのカリキュラムユニットの目標を達成することを目的として研修を行います。
また、他職種との連携を密におこなっていくことで、お互いを尊重し、敬意をもって接することで、チーム医療に欠かせない協調性を養うことも目標としております。
03.施設および指導体制
単独型(管理型)臨床研修施設
-
施設名
医療法人栄知会 小野歯科医院
-
管理者
理事長 小野 一行
-
プログラム責任
小野 一行
-
指導歯科医
小野 一行
指導体制
指導歯科医の指導監督の下、上級歯科医による屋根瓦方式
上記を併用し、基本的な知識、手技並びに治療管理を習得させる。また、医療事故への対応については、診療に関わる医療事故の主たる責任は指導歯科医が負うが、研修歯科医は重大事故発生の場合は、直ちに指導歯科医に連絡し、その指示を仰ぐものとする。
04.研修期間
1年とする
(令和6年4月1日~令和7年3月31日)
05.評価に関する事項
修了判定を行う項目 |
|
---|---|
修了判定を行う基準 |
上記すべてを満たした場合に研修修了可とする。 |
06.募集定員、募集方法
及び採用の方法
-
募集定員
2名
-
募集方法及び採用の方法
公募とし、面接により選考を行う。
また、マッチングを利用し、
採用を決定する。
07.研修歯科医の処遇
(1) 常勤・非常勤の別 | 常勤 |
---|---|
(2) 研修手当 |
月給30万円 時給換算 1,744円/時間 交通費全額支給、時間外手当あり |
(3) 勤務時間 | 9:30~18:30 シフト制・休憩13:00~14:00(実働8時間) |
(4) 休暇 |
週休2日制(日祝、その他1日※祝日週は除く) 有給休暇(10日)、夏季休暇、年末年始休暇 |
(5) 時間外勤務の有無 | 有 |
(6) 当直の有無 | 無 |
(7) 宿舎の有無 | 無 |
(8) 研修歯科医のための 施設内の部屋 |
有 |
(9) 社会保険・労働保険 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
(10) 健康管理 |
健康診断(年1回) 予防接種補助 |
(11) 歯科医師賠償責任保険 |
|
|
|
(12) 外部の研修活動 |
|
|
08.具体的な研修目標
歯科医師としての基本的価値観
(プロフェッショナリズム)
-
社会的使命と公衆衛生への寄与
社会的使命を自覚し、説明責任を果たしつつ、社会の変遷に配慮した公正な医療の提供及び公衆衛生の向上に努める。
-
利他的な態度
患者の苦痛や不安の軽減と福利の向上を最優先するとともにQOL に配慮し、患者の価値観や自己決定権を尊重する。
-
人間性の尊重
患者や家族の多様な価値観、感情、知識に配慮し、尊敬の念と思いやりの心を持って接する。
-
自らを高める姿勢
自らの言動及び医療の内容を省察し、常に資質・能力の向上に努める。
資質・能力
-
医学・医療における倫理性
診療、研究、教育に関する倫理的な問題を認識し、適切に行動する。
- 人間の尊厳を守り、生命の不可侵性を尊重する。
- 患者のプライバシーに配慮し、守秘義務を果たす。
- 倫理的ジレンマを認識し、相互尊重に基づき対応する。
- 利益相反を認識し、管理方針に準拠して対応する。
- 診療、研究、教育の透明性を確保し、不正行為の防止に努める。
-
歯科医療の質と安全の管理
患者にとって良質かつ安全な医療を提供し、医療従事者の安全性にも配慮する。
- 医療の質と患者安全の重要性を理解し、それらの評価・改善に努める。
- 日常業務の一環として、報告・連絡・相談を実践する。
- 医療事故等の予防と事後の対応を行う。
- 歯科診療の特性を踏まえた院内感染対策について理解し、実践する。
- 医療従事者の健康管理(予防接種や針刺し事故への対応を含む。)を理解し、自らの健康管理に努める。
-
医学知識と問題対応能力
最新の医学及び医療に関する知識を獲得し、自らが直面する診療上の問題について、科学的根拠に経験を加味して解決を図る。
- 頻度の高い疾患について、適切な臨床推論のプロセスを経て、鑑別診断と初期対応を行う。
- 患者情報を収集し、最新の医学的知見に基づいて、患者の意向や生活の質に配慮した臨床決断を行う。
- 保健・医療・福祉の各側面に配慮した診療計画を立案し、実行する。
- 高度な専門医療を要する場合には適切に連携する。
-
診療技能と患者ケア
臨床技能を磨き、患者の苦痛や不安、考え・意向に配慮した診療を行う。
- 患者の健康状態に関する情報を、心理・社会的側面を含めて、効果的かつ安全に収集する。
- 診察・検査の結果を踏まえ、一口腔単位の診療計画を作成する。
- 患者の状態やライフステージに合わせた、最適な治療を安全に実施する。
- 診療内容とその根拠に関する医療記録や文書を、適切かつ遅滞なく作成する。
-
コミュニケーション能力
患者の心理・社会的背景を踏まえて、患者や家族と良好な関係性を築く。
- 適切な言葉遣い、礼儀正しい態度、身だしなみで患者や家族に接する。
- 患者や家族にとって必要な情報を整理し、分かりやすい言葉で説明して、患者の主体的な意思決定を支援する。
- 患者や家族のニーズを身体・心理・社会的側面から把握する。
-
チーム医療の実践
医療従事者をはじめ、患者や家族に関わる全ての人々の役割を理解し、連携を図る。
- 歯科医療の提供にあたり、歯科衛生士、歯科技工士の役割を理解し、連携を図る。
- 多職種が連携し、チーム医療を提供するにあたり、医療を提供する組織やチームの目的、チームの各構成員の役割を理解する。
- 医療チームにおいて各構成員と情報を共有し、連携を図る。
-
社会における歯科医療の実践
医療の持つ社会的側面の重要性を踏まえ、各種医療制度・システムを理解し、地域社会に貢献する。
- 健康保険を含む保健医療に関する法規・制度の目的と仕組みを理解する。
- 地域の健康問題やニーズ把握など、公衆衛生活動を理解する。
- 予防医療・保健・健康増進に努める。
- 地域包括ケアシステムを理解し、その推進に貢献する。
- 災害や感染症パンデミックなどの非日常的な医療需要について理解する。
-
科学的探究
医学及び医療における科学的アプローチを理解し、学術活動を通じて、医学及び医療の発展に寄与する。
- 医療上の疑問点に対応する能力を身に付ける。
- 科学的研究方法を理解し、活用する。
- 臨床研究や治験の意義を理解する。
-
生涯にわたって共に学ぶ姿勢
医療の質の向上のために省察し、他の歯科医師・医療者と共に研鑽しながら、後進の育成にも携わり、生涯にわたって自律的に学び続ける。
- 急速に変化・発展する医学知識・技術の吸収に努める。
- 同僚、後輩、歯科医師以外の医療職と互いに教え、学びあう。
- 国内外の政策や医学及び医療の最新動向(薬剤耐性菌等を含む。)を把握する。
基本的診療業務
-
基本的診療能力等
(処置ごとに一症例とする)本項目は、「B. 資質・能力」のうち、「2.歯科医療の質と安全の管理」「3.医学知識と問題対応能力」「4.診療技能と患者ケア」「5.コミュニケーション能力」に相当する具体的な到達目標を示す。
基本的診察・検査・診断・診療計画
※左右にスクロールできます
項目 研修内容 目標 ① 患者の心理的・社会的背景を
考慮した上で、適切に医療面接を実施する。初診時医療面接、
再診時医療面接①~⑥を一連として実施する
(10症例)② 全身状態を考慮した上で、
顎顔面及び口腔内の基本的な診察を実施し、
診察所見を解釈し、
カルテに記載した上で、
指導歯科医に報告する。口腔内診察、頭頚部診察、
各種検査の必要性の判断③ 診察所見に応じた適切な検査を選択、
実施し、検査結果を解釈し、
カルテに記載した上で、
指導歯科医に報告する。エックス線検査、咬合検査、
咀嚼能力検査、歯周組織検査④ 病歴聴取、診察所見及び
検査結果に基づいて歯科疾患の診断を行う。担当患者の診断に関する
口頭試問⑤ 診断結果に基づき、
患者の状況・状態を総合的に考慮した上で、
考え得る様々な一口腔単位の診療計画を検討し、
立案する。診療計画に関するカンファレンス参加、
プロトコール作成⑥ 必要な情報を整理した上で、
わかりやすい言葉で十分な説明を行い、
患者及び家族の意思決定を確認する。患者への病状説明、
インフォームドコンセント、
同意書の取得基本的臨床技能等
※左右にスクロールできます
項目 研修内容 目標 ① 歯科疾患を予防するための
口腔衛生指導、基本的な手技を
実践する。ブラッシング指導、
フッ化物歯面塗布合計5症例 ② 一般的な歯科疾患に対応するために
必要となる基本的な治療及び
管理を実践する。a.歯の硬組織疾患・・・
う蝕のコンポジットレジン修復、インレー修復各5症例 b.歯髄疾患・・・
抜髄処置、感染根管処置各5症例 c.歯周病・・・
口腔衛生指導、スケーリング・ルートプレーニング各5症例 d.口腔外科疾患・・・
抜歯、歯周外科処置各5症例 e.歯質と歯の欠損・・・
クラウン修復、ブリッジ、部分床義歯、
全部床義歯新製症例を1症例含むこと各5症例 f.口腔機能の発達不全、口腔機能の低下・・・
高齢者の摂食嚥下機能訓練各5症例 ③ 基本的な応急処置を実践する。 適切な問診をし、正確な診査診断のもと最適な処置を行い、
患者の主訴を早期に解決する疼痛、修復物脱離、義歯破損 合計5症例 外傷 3症例 患者管理
※左右にスクロールできます
項目 研修内容 目標 ① 歯科治療上問題となる全身的な疾患、
服用薬剤等について説明する。高血圧および糖尿病で医科診療中の患者に、
歯科治療上の問題点と服用薬剤等について説明する3症例 ② 患者の医療情報等について、
必要に応じて主治医の医師等と診療情報を共有する。別の保険医療機関に対して、
診療情報の提供を求める1症例 ③ 全身状態に配慮が必要な患者に対し、
歯科治療中にバイタルサインのモニタリングを行う。心拍および血圧の状況に配慮が必要な患者に対し、
歯科治療中にバイタルサインのモニタリングを行う5症例 ④ 歯科診療時の主な併発症や偶発症への
基本的な対応法を実践する。診療前に前投薬が必要な場合、投薬を行う 1症例 患者の状態に応じた歯科医療の提供
※左右にスクロールできます
項目 研修内容 目標 ① 妊娠期、乳幼児期、学齢期、成人期、高齢期の患者に対し、
各ライフステージに応じた歯科疾患の基本的な予防管理、
口腔機能管理について理解し、実践する。各期において、必要な予防管理、
口腔機能管理を行う各ライフステージにおいて1症例ずつ ② 各ライフステージ及び
全身状態に応じた歯科医療を実践する。妊娠期:妊娠後期において、
仰臥位では血圧低下の恐れがあるため、
診療台(チェアー)の角度を調整しながら、
血圧測定を行い治療を行う1症例 乳幼児期:抑制を行う際、
しっかりと呼吸できているか確認をしながら、
治療を進める1症例 学齢期:初めての浸潤麻酔の際、
状態を確認しながら、浸潤麻酔を行う1症例 成人期:血圧測定を治療前後で測定し、
歯科治療を行う1症例 高齢期:口腔外科的な処置を行う際、
前投薬が必要な場合、
前投薬を投与して歯科治療を行う1症例 ③ 在宅療養患者等に対する
訪問歯科診療を経験する。在宅患者を訪問し、全身状態を確認しながら
歯科診療を行う3症例 -
歯科医療に関連する連携と
制度の理解等本項目は、関連する「B. 資質・能力」「6.チーム医療の実践」「7.社会における歯科 医療の実践」に相当する具体的な到達目標を示す。
歯科専門職間の連携
- 歯科衛生士の役割を理解し、予防処置や口腔衛生管理等の際に連携を図る。
- 歯科技工士の役割を理解し、適切に歯科技工指示書を作成するとともに、必要に応じて連携を図る。
- 多職種によるチーム医療について、その目的、各職種の役割を理解した上で、歯科専門職の役割を理解し、説明する。
多職種連携、地域医療
- 地域包括ケアシステムについて理解し、説明する。
- 地域包括ケアシステムにおける歯科医療の役割を説明する。
- 訪問歯科診療の実施にあたり、患者に関わる医療・介護関係職種の役割を理解し、連携する。
- 歯科専門職が関与する多職種チーム(例えば栄養サポートチーム、摂食嚥下リハビリテーションチーム、口腔ケアチーム等)について、その目的及び各専門職の役割を理解した上で、チーム医療に参加し、関係者と連携する。
地域保健
- 地域の保健・福祉の関係機関、関係職種を理解し、説明する。
- 保健所等における地域歯科保健活動を理解し、説明する。
- 歯科健診を経験し、地域住民に対する健康教育を経験する。
歯科医療提供に関連する制度の理解
- 医療法や歯科医師法をはじめとする医療に関する法規及び関連する制度の目的と仕組みを理解し、説明する。
- 医療保険制度を理解し、適切な保険診療を実践する。
- 介護保険制度の目的と仕組みを理解し、説明する。
09.症例数
歯科医師臨床研修の到達目標を達成するため研修歯科医1人当たりに必要な症例数(合計):159
研修期間中に経験することを目標とする研修歯科医1人当たり症例数(目標症例数)(合計):300